2013年6月14日金曜日

6月のカレンダーをアップしました。

2013年は美学美術史学科ホームページにて、大石先生のコレクションより
作品紹介とカレンダーをアップしてきています。
大石先生がお持ちのコレクションから選りすぐりの逸品を季節に合わせて紹介しています。
また解説もありますので、ぜひご覧ください。

6月はこちらです。

「達磨と遊女図(変わり藘葉達磨図)」  雪柳軒
 達磨が「面壁九年」なら、遊女は「苦界十年」だとされる。このたとえに因み、江戸時代には、「女達磨」を始め遊女と関連づけたさまざまな達磨図が生み出された。「変わり蘆葉達磨図」とも称されるこの図様もそのひとつ。「蘆葉達磨」は、達磨が梁から魏に向かった折、揚子江を蘆の葉に乗って渡ったとの伝説に基づくが、ここでは達磨は隅田川を猪牙船で渡る吉原通いの遊客に見立てられている。遊女の船頭が漕ぐ蘆の葉に揺られながら、一心不乱に毛抜きで髭を整える達磨。おめかしにも念には念をといったところだろう。同種の題材を扱った肉筆画としては、英一蝶、宮川長亀、山崎龍女の作、版画では奥村政信の作がこれまでに知られている。本図には「雪柳軒筆」の落款に加え、「髙野」と読まれる印章が捺されるが、残念ながらこの画家については明らかにできない。
なお、本図をこの6月に取り上げるについては、初夏らしい風情であることに加え、遊女の着物に紫陽花の文様が見られることによる。