2016年5月16日月曜日

西洋美術史実地研修1 第1回

 
 
今年も西洋美術史実地研修1(博物館学実習)が始まりました。
4月始めの全体ガイダンスと事前学習で準備して、いざ、第一回研修へ。

  実は今年はイタリアと日本の国交樹立150周年記念。
  日本ではさまざまな分野でイタリア文化を紹介する催しが開かれていおり、今回訪れた展覧会はいずれも日伊国交樹立150周年記念と銘打たれています。
  (ちなみに、イタリアでも北斎の展覧会など日本関連の催しが今年いっぱい予定されているようです)
 午前中は、上野の国立西洋美術館で開催中の「カラヴァッジョ展」。
  「ルネサンスを越えた男。」と来ましたよ!
事前学習では、カラヴァッジョと、彼の登場とともにはじまるバロック時代の美術の特徴について、下調べしてきました。 


(入館前にレポートをもとに発表。みんなの前でちょっと緊張気味?)
今回の展覧会ではカラヴァッジョ作品が10点が一同に会するという滅多にない機会でした。
さらに、カラヴァッジョに影響を受けたカラヴァッジョ派の画家たちの作品とともに見ることで17世紀の西洋美術の傾向をつかむことができるという企画でした。
 カラヴァッジョの明暗表現、闇の中に垣間見えるモチーフが浮かび上がるように、照明も非常に考え抜かれていましたね。
 
 企画展のチケットで入れる常設版画室でのコレクション企画は「描かれた夢解釈」。ルネサンスから近代まで「夢」を表した版画が紹介されており、興味深いものでした。見る時間はあったでしょうか?




国立西洋美術館での定番撮影スポットで記念写真
さて、カラヴァッジョは1950年代にイタリアで開催された展覧会を契機に注目を浴び、80-90年代にヨーロッパでは研究者や美術愛好者の間で知られるようになったという、比較的最近になって再評価され始めた画家です。
日本でも90年代以降、一部の美術好きの間で知名度を得るようになり、2001年に日本で初めてのカラヴァッジョ展が開かれるようになりました。
その展覧会 カラヴァッジョ  光と影の巨匠 -バロック絵画の先駆者たち」の会場だったのが、午後に訪れた東京都庭園美術館です。

なんだか素敵な建物ですね。
ということで、事前学習ではこの美術館の由来についても下調べ。
ここは1930年代に当時最新のアール・デコ様式をとりいれて建てられた朝香宮の邸がもとになっています。フランスから建築家や装飾家を呼んで建てられ、幾何学的な形を組み合わせた建築様式やラリックをはじめとする装飾家たちによる内装も見所です。
 さて、ここで今回見るのは、「メディチ家の至宝」展。
 
ということで、メディチ家についても事前学習済み。
 
 

メディチ家は15世紀以降、イタリアのフィレンツェを支配し、ボッティチェリやミケランジェロらルネサンスの芸術家たちを支援したことでも知られる一族。
今回の展覧会は、18世紀に断絶するまでにメディチ家が収集したジュエリーの数々と、一族の肖像が展示されています。
 
        
そこで、もう一つの発表は、展覧会ポスターにもなっているこの少女の肖像を描いたアーニョロ・ブロンヅィーノについて。
16世紀に同家の宮廷画家となった彼は、ルネサンスの次のマニエリスム様式を代表する画家でもあります。

ドレスの袖につけるアクセサリー
会場では、肖像とジュエリーを同時に見ることで、描かれたジュエリーが実際はどのような作りをしているものなのか、あるいは展示されているジュエリー類がどのように身につけられていたのかを知ることができるような展示がされていました。
  
ダイヤモンドの表面を彫って紋章を表すなど、今では考えられないほどの精巧な細工で作られたジュエリー類の数々からも往時のメディチ家の繁栄が窺えましたね。



    また、ルネサンスの人たちが憧れ、模倣した古代のカメオやインタリオなども共に展示されていることで、ルネサンス(古代の再生)が絵画や彫刻だけでなく、さまざまな分野で起こった現象だったことが理解できたのではないでしょうか?
こちらはマニエリスム期の彫刻家チェッリーニによる古代神話モチーフのカメオ
研修後には、二つの展覧会で実物を見て気になった作品についてのレポート、あるいは展示に関連したレポートを提出します。
  

庭園美術館はその名の通り庭園も見所です。

     
残念ながら桜の季節は過ぎていましたが、色とりどりの花が咲き、梅の実も実り始めていましたね
庭もゆっくり堪能できたでしょうか? 
 

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